思いがけない陸の挨拶。


俺が見ると陸が照れ臭そう
に笑ってる。


兄貴…。


陸…お前はこんな俺をまた
兄貴と認めてくれるのか?


「岳君…良かったね…。」


美咲はそう言って俺の
手を握りしめ笑ってくれた。


お互いの近状報告で
誠也が結婚した事を知った。


年末には子供も産まれるらしい。


この6年間.誠也とは家も
近所なのに一度も会う事は
無かった。


いや…すれ違う事が
あったとしても下ばかり
を見て歩いていた俺が気付
かなかっただけなのかもし
れない…。


誠也にも一度会って謝り
たいと思う。


俺は陸だけでは無く
誠也の事も傷付け見下
していたんだ…。


いつも明るい誠也…陸の
事になると人が変わった
様に鋭い目を俺に向けていた。


そんな陸と誠也の友情ごっこが
俺にとっては疎ましかった。


それは自分以外の人間は
みんなライバルだと思う
奴ばかりの中で過ごして
来た俺にとってはバカらしい
事にしか思え無かったから…。


それは疎ましいんじゃなく
羨ましかったんだと俺は後
に気付く。


誠也…ごめんな。


いつか言葉にしてお前に
伝えたいと思う。