俺の怒鳴り声に通りすがりの
奴らが白い目で見ていく。


今の俺にはそんな事は
関係なかった。


「大きな声を出すなよ!!
どうして別れたかは凜に
聞けばいいだろ。
別れを切り出したのは向こ
うなんだからな。
それに俺は今この彼女と
真剣に付き合ってるんだ。
そんな昔の話しに今更
俺を巻き込まないでくれ!!」


「智哉.もう行きましょうよ。
みんなにジロジロ見られて
私.恥ずかしいわ。」


「あぁ…そうだな。
おい.これからどこかで
会っても二度と声を掛け
ないでくれよな!!」


男は女の肩を抱いて俺の
前を通り過ぎて行く。


果凜…。


お前はあの男を選んだん
じゃなかったのか?


だから…俺はお前を
諦めようと思ったのに。


お前…何してんだよ?


-お前.凜がこっちに帰って
来てる事も知らないの?-


さっき男が言っていた
言葉を思い出す。


果凜は日本に戻って来てる…。


この日本に…。


でも…もう俺にとって果凜は
近くに居ても掴む事が出来ない
遠い存在なんだ…。


俺は我に返り車に戻る。


果凜が日本に居ると思うだけで
少し…いつもの街並みが違って
見えた。