部屋に戻って携帯を開く。


岳が現れた事でデータBoxの
中の答えを出せないでいた。


-削除しますか?-


-はい-


-いいえ-


「諦めるのかい?
想い続けてたら
叶うかもしれないよ。」


婆ちゃんの言葉が頭を過ぎる。


「婆ちゃん…もう無理だよ。」


全ての事をリセット
しなきゃいけないんだ。


この笑顔にもさよなら
しなきゃ…。


いつまで経っても俺は
前には進めない…。


俺の指が新たな人生の
スタートを切る。


-はい-


「削除中」の文字が点滅する。


いつまでも色褪せる事.無く
俺を支え続けてくれた果凜の
笑顔が一瞬にして消えていく…。


-削除しました-


果凜…。


俺…少しずつ前に進むよ。


まだスタートラインを
切ったばかりの俺だけど
自分のペースでゆっくりと
前に進もうと思う。


後ろを振り返らずに…。


でも…過去に星野 果凜と言う
俺が初めて愛した女が居た事だけ
は決して忘れない…。


果凜…今まで本当にありがとう。