どれ位.話しただろう…。


6年の空白を埋めようと
俺達はずっと話していた。


岳の彼女が今は理学療法士
として星野総合病院に勤め
ている事。


その彼女に岳は自分の
全てを話した事。


「最低な人間だって言われたよ。
女の敵だって…でもそんな男を
私は好きになったんだから一緒に
その罪を背負って行くって…。
俺みたいな男にそんな事を言って
くれる女はアイツだけだよ。」


「惚気てんじゃねぇよ。(笑)」


また岳の顔が
真っ赤になって行く。


「別に惚気てる訳じゃないよ!!
本当にそう思ってるから…。」


「はい…はい。ごちそうさま。(笑)」


「からかうなよ…。(笑)」


その夜.俺は6年振りに実家に
足を踏み入れる。


俺が生まれ育った家。


二度と帰る事が無いと
思っていたのに…。


懐かしい匂いに俺は涙が
出そうになるのを必死に
堪えた。


そんな俺の前でお袋は
流れる涙を拭おうともせず
俺の手を握り締めて離さない。


「陸…陸…。」


何度も俺を呼び続けるお袋を
見て俺の目からは限界を超え
涙が流れ落ちた。


「お袋…今までごめんな。」


お袋は首を横に振り俺を
抱き締めてくれたんだ。