「俺…自分の身体が不自由に
なった事で本当に目指したいと
思える職業を見つける事が出来
たんだよ…。
それに…好きな人も出来た…。
もちろん計算なんて一切無くて
その人が傍に居てくれるだけで
俺は幸せだと思えるんだ。」


そう話す岳の顔は真っ赤で
始めて見る岳のそんな表情に
拓海君が言っていた言葉の意味
を理解する事が出来た。


岳が目指した職業は理学療法士。


俺が岳に連絡を取った日は
ちょうど国家試験日。


その結果が出たのは岳が俺に
連絡をくれた日だった。


「…結果は?」


「合格したよ。(笑)
結果を自分の口から
お前に言いたかったから
連絡するのが遅れた。(笑)」


「そうだったんだ…。
岳.おめでとう…。
本当に良かったな。」



「ありがとう。」


岳は自分がリハビリに通い
日々の積み重ねによって身体が
動くようになった喜びをたくさん
の人達に伝えたいと思うように
なったと話してくれた。


その表情には一寸の曇りも無く輝いていた。


「実は彼女も理学療法士なんだ。
病院で働いてる…。」


「そっか…。で?どこで
知り合ったんだよ。(笑)」