「陸…お前なら惚れた女の命と
産まれる前の子供の命どちらか
一つしか選べないとしたら…
どっちを選ぶ?」


「意味がわかんねぇよ。
どう言う意味だよ…?」


「桃…子宮ガンなんだって…。」


そう言うと誠也は言葉を
詰まらせた。


子宮ガン…。


知識の無い俺でもガンと聞けば
悪い方向にしか考えられない。


「子供が出来たかも…って
桃に聞かされた時…俺…本当に
嬉しかったんだ。
ちゃんと確かめようと思って
昨日2人で病院に行ったら
3ヶ月だって言われて…
俺.嬉しくて涙が止まんなかった。
なのに…なんでなんだよ…。」


俺は誠也に掛けてやる言葉が
見つけられずにいた。


妊娠と同時にわかった佐伯の
ガンは子宮頸ガン。


説明を受けた誠也達は佐伯の
中期段階のガンに対して二通り
の治療方法がある事を聞かされる。


子供を望むなら治療を
出産後に行う方法…
その方法を選んだ場合
リスクが伴う。
お腹の子供に影響を
考えると出産まで薬が
使えない。
その為にガンが進行する
場合があり…命に関わる
事があると言う事…。


もう一つの方法は子供を
諦めて中期段階の今.早急
に手術を行う事。