仕事帰りの車の中から
実家に電話を掛ける。


R♪…R♪…。


俺はいつもの様に誠也に背中を
押された事で岳と向き合う事に
決心が付いた。


でも会って何を話せば
いいのかもわからない。


岳が変わった…。


もし…それが拓海君の
勘違いだとしたら…。


今回.岳と会う事で俺達の間に
再び亀裂が入ってしまったら…。


もう二度と歩み寄る事は
不可能だろう。


ドキドキが止まらない…。


耐え切れずに切ろうとした
瞬間だった。


「もしもし。前園でございます。」


いつもお袋の声が
俺のドキドキを和らげる。


「もしもし…俺。」


「陸!?珍しいじゃない!!
元気にしてるの!?」


「あぁ。元気だよ。そっちは?」


「みんな元気よ!!」


「そっか…良かった。」


みんな…。その中にはもちろん
岳も入っているんだろう。


「陸?…どうしたの?何かあった?」


鋭いお袋の問いに俺の
緊張が増す。


「岳…岳に代わって欲しいんだ。」


「えっ!?」


俺の言葉にお袋が
驚きの声を発する。


お袋が驚くのも無理は無い。


6年もの歳月を経て初めて
俺が歩み寄る決心したんだ。


俺自身も信じられないでいた。