「果懍…!!」


「えっ…。」


俺は果懍を抱きしめていた。


「陸君…冗談はやめて…イヤだ…離して…。」


果懍が俺の胸を力一杯押してくる。


「少しだけこのままで居てくれ…頼む。」


「陸君…私は…」


「わかってる。…わかってるから…それ以上言うな…。」


果懍の言おうとしている事は
わかっている。


また突き付けられる現実。


「んっ…。」


俺は現実から目を逸らすように
果懍にキスをした。


最低な事をしている事はわかっているのに…。


果懍を前にすると自分の気持ちが
抑え切れなくなっていた。


果懍が必死に抵抗してくる…。


俺はきつく抱きしめながら何度も
キスを繰り返す。


「イャ…んっ…。」


-カチャ-


岳だ…。岳が帰って来た。


岳は直接上がって来ずキッチンに
入って行ったようだった。


俺は果懍を抱きしめたまま…。


「お願い…離して…。」


俺はゆっくりと腕の力を緩める。


果懍はあっという間に俺の腕から
居なくなった。


部屋から急いで出て行こうとする
果懍に俺は言ったんだ。


「冗談なんかじゃねぇから…。」


「………。」


果懍は何も答えず出て行った。