もう二度と果凜は俺の腕に
戻って来る事は無いだろう。


それならば…せめて最後に
果凜の笑った顔が見たいと思う。


泣かせるばかりで俺の前では
笑う事も出来なくなった果凜。


いつか果凜の中での俺との思い出
が笑って話せるように…。


もし…またどこかで俺達が会った
時には笑って会えるように…。


そうする為に俺に今.出来る事
は何なんだろう?


答えの出ないまま果凜の
家の前に車を止めた。


気を使ってか…なかなか車から
降りようとしない果凜。


俺は必死に答えを探す。


焦りの中で思い付くのは果凜を
失いたく無いと言う想いばかりで
また俺は果凜を困らせようとして
いる…。


最後くらいは果凜の笑った顔を
見たいと思う気持ちとは裏腹な
事しか思い浮かばない。


そんな俺の口から出た言葉は
自分でも自然に出た言葉だった。


「アイツが待ってんだろ?
…早く行けよ…。」


今は笑顔よりも果凜を苦しめない
方法を俺は選んだ。


このまま一緒に居ても俺の口から
出る言葉は果凜を苦しませる言葉
でしかない…。


もう開放してやろう…果凜の笑顔
が自然に出るアイツの元へ…。