「陸.飯でも食いに行こうぜ。
あっ.晩飯はお婆ちゃんが
用意してくれてるか?
さっきお婆ちゃんと話してる時
カレーのいい匂いしてたから(笑)
じゃあ今日はドライブだけで
また今度にするか。」


そう言いながら拓海君が
左側の運転席に乗り込む。


「車.変えたんすね?
誰か.わからなかった。」


「あぁ。半年程前にな。
お前さっき入って来た時
婆ちゃん大丈夫かって…
入って来ただろ!?(笑)」


「こんな車が家の前に止ま
ってたら誰でも怪しい奴だ
って思うでしょ。(笑)
俺.完璧に戦闘体制で家に
入って行ったし。(笑)」


「失礼な野郎だな!!この車の
どこが怪しいんだよ!!(笑)」


「どっから見ても怪しい
っすよ!!(笑)」


他愛の無い話しに2人で
笑い合う。


本当は拓海君の話しがどんな
事なのか分からずに俺は内心
戸惑っていた。


俺達の間に沈黙が続いた。


拓海君は前を見たまま
何も話そうとしない…。


狭い空間での沈黙に息苦しさを
感じ初めた時だった。


拓海君がゆっくりと
口を開き始める。


「陸…お前に辛い思いさせて
悪かったな。」


「えっ?」


「一年もお前の人生を無駄
に過ごさせてしまった。」