なんで…出る前に確かめなかったんだろ…｡


俺は後悔と共に自分の気持ちが
くじけそうになるのを感じた｡


ずっと聞きたかった果凜の声…｡


本当は今すぐにでも会いに行きたかった｡


｢…良かった…番号変わって
なかった…｡｣


｢………｡｣


誠也が気をきかして俺から
離れて行く｡


｢……陸君…何か話して…陸君の
声が聞きたいの｡｣


｢……元気だったか?｣


｢……何とか…陸君は?｣


｢……何とか…(笑)｣


｢そっか…｡(笑)陸君…会いたい｡｣


俺も会いてぇよ…｡


会ってお前を抱き締めてぇよ…｡


｢ごめん…｡会えねぇよ…｡
果凜…俺の事はもう忘れろ｡｣


｢……どうして?…嫌だ…｡｣


果凜の声が泣き声に変わる｡


果凜…泣くな｡


俺なんかの為に泣くなよ…｡


｢もう…俺達は会わない方が
いいんだよ…｡
果凜…幸せになれよ｡｣


｢私は陸君とじゃないと
幸せになんてなれないよ…｡｣


｢本当にごめんな…｡｣


俺は果凜の言葉を待たずに電話を切った｡


俺の目から久しぶりに涙が
溢れ出す｡


果凜…本当は俺だってお前に
会いてぇよ…｡


一目でいいから…
お前に会いたい｡