あの野郎…。絶対に許さねぇ…。


「陸…どうする?コイツ連れて
行って吐かすか?」


「いや…アイツは俺が聞いたら
すぐに吐くよ…。アイツはそんな
奴だって今はっきり分かった…。」


善人ぶっている表の顔…。


裏では恐ろしい顔を持った
卑劣な奴…。


いくら…兄弟でも許せねぇ…。


いや…兄弟だから余計に許せねぇんだ…。


岳…俺はお前を一生許さない。


「もう勘弁してくれよ…。
頼むよ…。」


男が震えながら俺と誠也に向かって言った。


「陸.どうする?後はお前次第だ。」


俺は無言で男を殴った。


男の呻き声だけが車内に響いている…。


「ウッ…許して…くれ…ッッ…」


男が気を失って初めて俺は口を
開いた。


「テメェ!!起きろ!!」


男の頬を叩くと意識を取り戻す。


「まだまだなんだよ!!これで
済むと思ってんじゃねぇぞ!!」


男の顔は腫れ上がり口や鼻からは
血が流れ落ちる。


誠也はそんな俺の行動を止めずに
ずっと黙って見ていた。


俺のやり切れない気持ちを誠也は
分かっていたんだろう。


再び動かなくなった男をそのまま
にして俺達は車を降りた。