「陸…落ち着けよ。一度通り過ぎて
指輪を確かめろ。少し様子を見た
方がいい。この後.もし奴がワゴン
戻ったら…間違いないだろ。」


気ばかりが先走る俺に誠也が言った。


誠也の言う通りだ。


確信も無いのに焦っても
仕方がない。


落ち着け…落ち着け…俺は何度も
自分に言い聞かせる。


誠也と2人コンビニに入る前に
男の手を見た。


十字架だ…確かに十字架の指輪
をしていた。


雑誌を見ている振りをして店内
から奴らを見ていると十字架の
指輪をしている方の男だけが急に
振り返って俺達を見ていて…もう
1人の張本人かもしれない男の方
はずっと携帯で喋っている。


「陸.奴がずっとこっちを見てる。
出た時に因縁つけられるかもな。
接触出来るチャンスだ。」


誠也が雑誌から目を離さないまま
俺に話し掛けて来る。


ふと.誠也の見ていた雑誌に目を
やると明らかに不自然…。


いくら取りあえず手に取った雑誌
とは言え…おかしいだろう。


「誠也…お前…雑誌を変えろ…
なんで少女コミックなんだよ!!」


「えっ!!」


俺の言葉でやっと気付いた誠也
は慌てて雑誌を戻す。


誠也…お前が落ち着け…。