「さっきの人.果懍の兄貴だけど。
それに怖い人じゃなくて一応は
医者の卵らしいぜ。」


「へっ?星野さんのお兄さん…医者の卵?」


お袋を見ると何に安心したのか
座り込んでいた。


2階に上がると岳が部屋から出て来た。


「星野の兄貴に送って貰ったのか?」


「あぁ。何でわかったんだよ?」


「あの音…前に聞いた事があるから。(笑)」


「音ね…。確かに果懍の兄貴の車
だってすぐわかるな。(笑)」


「医者になろうって人が…。俺には考えられないな。」


医者…そう言えば果懍の言ってた
事は本当なんだろうか…。


「岳…果懍から聞いたんだけど
医大目指してるんだって?
お前の夢は弁護士になる事じゃ
無かったっけ?」


岳の顔色が変わったのを俺は見逃さなかった。


「あぁ…変わったんだ。
医者になる方がいいかなって…。」


「そっか…。果懍が言ってたよ
岳なら余裕で合格するだろうって…。」


「そんな事無いよ。それに受かるだけじゃダメなんだ。
将来は自分の病院も持ちたいって
考えてるから…いや.とにかく頑張るよ。(笑)」


「あぁ.頑張れよ。」


岳の様子がおかしい。


俺はなぜか言い様の無い不安を感じ始めていた。