しばらくすると、奥さんの体調もよくなり、お店に出てくるようになった。

私は元のウエイトレスの仕事をしながら、たまに料理も手伝った。

確かに、奥さんがお店に戻ってくるとお客さんの数は増えた気がした。



その年のバレンタインデー。

私は、喫茶ノムラに自分で焼いたチョコレートケーキを持って行った。

お菓子作りには、私はちょっと自信があった。

普段から、お菓子を作って、友達にプレゼントしたりしていた。

チョコ味のスポンジ生地にイチゴのジャムをはさみ、その表面を溶かしたチョコレートとココアパウダーでコーティングする。

いつもより少しだけ手が込んだチョコレートケーキを作った。