金魚すくい。


射的。


風車。


たくさんの屋台。


どこにいたって何してたって、
結局はあなたが浮かぶの。


どうして?
どうして三橋くんじゃなきゃダメなんだろう…


私は泣くのを必死にこらえ、唇を噛んだ。


―会いたい。
会いたいよぅ……


「めぐ、大丈夫?」


「美香……っ」


美香の顔を見て安心した私は、堪えきれなくなった涙を流した。


「めぐ…。」


美香は私の肩を抱きよせ、出店の無い、木陰へと連れ出す。








「めぐ、もう自分の気持ちに正直になりな?


過去は過去、今はいま。
健はめぐの元カレのように、決して粗末に扱ったりしないよ、絶対。


好きだって思えた気持ちを無かったことにしちゃダメ。
あんたは幸せにならなきゃ、ねっ?」


美香は私の目を真っ直ぐに見つめたあと、ふんわりと微笑んだ。


「美香、ありがとうっ…」


そんな美香の優しさに、私は抱きついた。