「あ、えと…


「コーヒー冷めるよ。」


「…え!?」


「だから、コーヒー。」


私の手元にあるコーヒーを指差したあと、前田くんは自分の頼んだブレンドを飲んだ。


「あー、やっぱぬるい。」


「うそ!?」


私も慌てて口をつける。
…あ、確かに。


て、なんか話が逸れたような…


ちらっと見上げると、
前田君が頬杖をついて私を見ている。


その視線に何も言えなくなってしまう私。


さっきの前田くんが嘘のように、余裕の笑みを向けている。


やっぱり前田くんはわからない。


けど、いつも大人っぽくて冷静な前田くんの素顔を、ちょっぴり見れた気がした。