着いたのは医務室ではなくて、
とあるカフェ。
前田くんは
「ここのコーヒー上手いらしいぜ?」
と全くさっきのことはお構いなしに笑う。
なんだかそれが有り難くて、
私も微笑んだ。
運ばれてきたコーヒーは噂通りほんとに美味しくて、
私の心を落ち着かせた。
「…ねぇ、前田くん?」
「なに?」
「さっき…ありがとう…」
「…なんで?」
「だって、助けてくれたんでしょ?私のこと。」
前田くんは少し驚いた顔をしたあと、
「助けられたならよかった。」
目を伏せて優しく笑った。
その仕草に、大人の男性を感じさせる。