実は私、中学校なんか行きたくなかった。小学校の卒業式で泣きじゃくったのを
  覚えている。まだ小学校にいたかった・・・。小学校はラクだった。
  それに比べて中学校は・・・上下関係はウザくてかったるい、というイメージが強い。
  入学式なんかサボったれ、と思っていたけど、そんなこと言ったらお母さんが
  鬼のごとくキレるに違いない。だからしかたなく来たのだ。
   でもモエと一緒のクラスで良かった!先生に心から感謝するよ。
  
  「ねえねえ、君3組?」
   
  どこからか声がした。誰に向かって話しているんんだろう、と思いながら靴をはく。
  「おーい!そこのハイソックス!あんただよ。」
  え?ハイソックスって・・・私のこと?顔をあげて、その声の主をさがす。
  「こっちこっち。」
  ・・・いた。階段の所から手をふっていたのは、私と同じくらいの身長の男だった。
  見知らない顔だった。そしてそいつが、
  「オレ、4組のリョウ。以後よろしくゥ!んじゃっ。」
  「は?え、ちょっ・・・」
  
  訳のわからない自己紹介をして走っていってしまった。
  「ユカリー?早く行こー!」
  「あ・・・うん・・・。」
 
   それが、私とリョウの最初の出会いだった。