―現在―
  

 「・・・せーのッ!」
 『たてがしらクーン!!』
せまい室内に打楽器メンバーの大きな声が響く。
  「いやあア!まぢやめてえぇェ・・・」
ここは吹奏楽部の中でもひときわうるさい・・・いや、ひときわ明るい
打楽器パートの練習室。今日も練習をサボって・・・いや練習の合間に            みんなでおしゃべり。
最初にでてきた「たてがしらクン」とは私・・・横井ユカリの好きな人だ。
打楽器パート三年リーダーのコノミちゃんをはじめ、みんなして私をからかっているのだ。
  「ってゆーか、たてがしらクンとかまぢありえんし。何あの顔。笑
   まぢでジャ●ーズかって話だよねー」
コノミちゃんがため息をついて言う。そう、私の好きなたてがしらクンは
あの有名なジャ●ーズ所属なのだ。まあ当然叶うこともなく・・・
  「あー横井先輩スネちゃったじゃないですかー。コノミ先輩言い過ぎですよ。
   まあ、本当のことですけどね、それより、た●●しですよ!!昨日テレビで・・・」
打楽器パート二年ミホちゃんがずばっと一言。フォローになってないけど。
ミホちゃんは私と同じ分類だと思う。ジャ●ーズのた●●しに恋をしているのだ。
口を開けば、その話ばっかり・・・ある意味すごい人だ。
  「出た!ミホのた●●しラブ。でもウチの話も聞いてください!あーちゃんが・・・」
パートNO1かわいくて頭のよいアキちゃんが発言。あーちゃんというのは
アキちゃんの彼氏だ。やはりかわいいのでモテるのだ。
  「アキちゃん・・・やめよう。その話はやめよう。・・・吐き気がする。オエェ・・・」
自称宇宙人のマコトちゃんが声を低くして言った。マコトちゃんはアキちゃんと
あーちゃんが付き合っていることを非常によろしく思っていない。あーちゃんが
キライなのだ。私もアキちゃんならもっとかっこいい人と付き合えるのにと
つくづく思う・・・。