「知ってる知ってる!うちのいた小学校にも、ファンたくさんいたもん。特に夏木くんとか!」
もう片方の子は、つり目に比べると少し背が小さく、耳が隠れるほどの長めの茶髪で、犬みたいなタレ目だ。
アイコはどちらかと言うと、その茶髪のタレ目に向かって話しかけているみたいに見えた。
「………」
けれど、話しかけられたタレ目はチラリとアイコを見ただけで、何も答えずにこっちに向かって歩いてくる。
ただ歩いているだけなのに、あたしの目はタレ目に釘付けになってしまう。
オーラがあるってこういうことなのかな。
カーッと自分の顔が赤くなっていくのを感じた。
タレ目は、あたしの座っていた席のすぐ後ろに鞄を置くと、無言のまま座ってしまった。
「あーあ、ごめんね。敬人ってクソ愛想ないんだわ。女の子苦手だし。気にしないで」
つり目の方が、申し訳なさそうにアイコに言って、タレ目の後を追い、横に座った。