『未歩へ
突然のことで驚くかもしれない。泣くかもしれない。怒るかもしれない。
俺は、桜也は人間じゃないってことに。
入学式の朝、俺は君を見つけた。すごく可愛かったんだ、一目惚れってやつ(笑)
でも未歩は俺を見て 笑って、そのあと少し悲しそうで 切なそうな顔をした。
それが気になって仕方なかった。 桜を見てる時って、普通誰しもがいい顔をするんだ。 桜を見たあとも笑っていてほしいって思った。 だから俺は桜の神様にお願いをしたんだ。


「桜が散るまででいい。あの子に人間として会いたい」ってね。

何度もお願いしてやっとわかってくれた。

君との出逢いが許されたんだ。
桜が咲いて散るまでの一週間だけ。
出逢えたことだけでも俺は奇跡だと信じてる、奇跡だと思うだろ?? 未歩…

「うん…」
未歩、俺未歩のこと大好きだよ。
「うん…」
この世で一番大好きなんだ。
「う…ん…」
俺の最後のわがまま聞いてくれる??
俺のことずっと忘れないでほしい。
これが最後のわがままです。
桜也より』


涙で文字がにじんだ。
そして、手紙の上に私の涙が一滴落ちた。

桜也。私も大好きだよ… この出逢い 一生忘れない。

桜也との大切な思い出の場所で、私は膝をつき泣いた。

花たちがなぐさめてくれてるようだった。

「…っく…桜也ぁー…」


どうして…
何で…
桜也ぁ…



「泣かないで、未歩」


「えっ…??」


桜也の最後の声だった。