あの夢を見なくなってからしばらく、店でうたた寝していた俺の夢にまた……小さな影が現れる。



小さな影は俺に近付き、



「蓮、起きてっ」




俺の体に触れ、俺の名前を呼んだ。



「んっ……百合奈?」



夢に出てくる百合奈が俺に触れることなんてなかった。



ましてや、起こすことも……。




俺に触れる小さな手も、名前を呼ぶ声も、



やっぱり百合奈とは違う。




でも、心地よくて安心する……。





その正体に気付いたのは、俺が目を覚ませた数秒後だった。




くぅくぅと規則的に聞こえる微かな寝息。


幸せそうな無邪気な寝顔。




「夢梨……」




その頬に思わず手が伸び、唇から名前が零れ落ちた。




最近の俺の幸せは、彼女の名前を呼ぶことだ……。




口にするだけで繋がりを感じ、生きてる実感に繋がっていた。




そんなときだった……。



百合奈がまた、夢に現れたのは。