何目立ってんだ私…。
そういうキャラじゃないのは十分自覚して、今まで何事もなく大人しく過ごしてきたのに…。

「あ、あれは…あの先生がワケわかんないこと言うから、何かイラッとして…」
「何それすげー。あ、でもさ、深見先生って前ウチの兄ちゃんの担任だったんだけど、生徒にも親にも結構評判良かったよ。若いってのもあるけど、めっちゃ親身だったって」
「…熱血?」
「そんなウザい感じじゃないみたいだったけど。兄ちゃん曰く、『兄さんみたい』だって」

…それって生徒にナメられてるってわけじゃなくて?

「そいえば、A組のコがその先生の授業面白くてわかりやすいって言ってた」
「いーなー。ウチらの生物の授業マジつまんね」

…いい先生ってことか?
じゃあ、あの先生はホントに私に親身になってくれてるってことでいいのかな…?
今まで全然関係なかったのに…私はそんなにも気にかかる生徒なんだろうか。

「…深見先生って合唱好きなんだって」
「へぇ、美歌と同じじゃん」
「あぁ…そう言えば、兄ちゃんが校内合唱コンクールん時、『先生の方がエライ張り切ってる』って言ってたっけか」

…そんなに好きなんだ。

「つーか美歌、先生のこと気になっちゃってる感じ?フリーだし、顔もそんなに悪くないしねぇ」
「はぁ?やだっ、そんなんじゃないよ…っ」
「照れんなって、そう思ってる女子は結構いるみたいよ」

…結構モテるんだ。
って、ホントにそんなんじゃないんだけど…気になるって言えば、気になる…。

事実、初めて先生と話してから…先生のことが頭から離れない。