「うん。なんか俺って平凡だからさ、なんとか彼女を喜ばせたいってツレに相談したら、ここ教えてくれた。びっくりしたでしょ?」


「うん…すごく!!」

伊澄が微笑むと、笹木は嬉しそうに笑った。

「しかも記念日とか誕生日とかは特別な事して当たり前だから、敢えて普通の日に連れてけってアドバイスされた(笑)」

「そぅなんだ…」

(わぁ…すごく、嬉しいかも)

笹木は伊澄を喜ばせるためにここまで連れてきてくれたのに、笹木を疑った自分が少し恥ずかしくなった。

「俺のこと、ちょっと疑った?」

いいタイミングで図星をつかれた。

「殺されるかと…笑」

「えっ?!そんなことしないし!!」

殺人の疑いをかけられた笹木は大きく否定した。

「だって、ニヤニヤしながら急に山奥に向かうから~!」

「えーニヤニヤしてた?まぁ、ワクワクしてたしな…」

「ありがと」

「ん…」

笹木が顔を近づけてきたので、目をつむった。

何度か触れるだけのキスをして、抱き合ったまま、屋上に寝転がった。

「時間が止まればいいなぁ…」

「私も…」

「伊澄」

急に笹木は真剣な顔を見せてきた。

「…なに?」


「俺…今の仕事、辞めようと思う」