「それで初めて聞いて…なんか俺に話さなかったこと、直人には全部話してたと思ったら…直人のこと、殴りつけたくなって…」

『ごめん…』

「何で謝るんだよ…悪くねーだろ…直人も彩香も」

感情が高ぶって、自分が何を言いたいのか、よくわからなくなってきた。

『…そうだけど』

「俺…正直、直人にずっと嫉妬してた。つきあってる間も」

『え…?』

「俺の彼女なのに、やたらと直人ほめるし…直人も直人で、お前に特別優しいし」

『そんなこと……』

「会いたいんだけど」
話は色々と脱線したが、言いたいことは結局それだった。

『え…?』

「つーか、今からお前ん家の近くの駅の噴水行くから」

『ちょっと…』

聖也はそのままケータイの電源を切った。

もうやけくそだった。

カバンを肩にかけ直して、駅まで走った。

岬の最寄りの駅まで歩くと50分はかかる。


地下鉄で行った方が確実に早かったが、立ち止まりたくなかった。

走っていくことにした。