「ただいま…」

だるそうに言いながら聖也は保健室に戻ってきた。

「大丈夫?」

「ん…ベッド借りる…」

聖也はベッドコーナーのカーテンを開けた。

「風邪かな」

「つーか…二日酔い?」

仮にも伊澄は教員なのに、堂々と飲酒を暴露された。

「未成年なんだから、お酒はダメ!体壊すよ?」

「もう飲みません……てゆうか、もう壊してるし」

「………吐き気は?」

気を取り直して、症状を聞いた。

「少々…」

伊澄の質問に答えながら聖也は布団に潜り込んだ。

「じゃあ、バケツ一応おいとくね」

前科もあるので、警戒して聖也の枕元にバケツを置いておいた。

「ありまと…」

聖也は布団のなかで丸くなっていった。

10分くらい経っただろうか。息をきらせた直人が保健室に入ってきた。

「水澤くん…」

伊澄は顔をあげたが、先日の言い争いを思い出し、顔を伏せた。

しかし、直人は伊澄の事はほとんど眼中になかったようだ。

「聖也、いる?」

おそらくクラスメイトに聖也が来た事を聞き、急いで駆けつけたのだろう。

「気分わるいから…ベッドに」

伊澄が言い終わる前に直人はカーテンを開けた。

「聖也…寝てる?」

「起きてるよ…」