伊澄といろいろ話した後、りょうは保健室を後にして、屋上へ向かう階段を上った。

「りょう」

不意に、後ろから呼ばれた。声の主は、大体想像つく。

「なに?日和」

「屋上いくの?」

「だったら?」

何だよ、と冷たく言ったが、キノは笑顔だった。

「俺も行く」

そう言いながら、キノは階段をあがってきた。

まぁ、今あまり一人にはなりたくなかったし、かと言って大勢で騒ぐ気分でもなかった。

(二人ぐらいが丁度いいか…)

相手がキノとゆうのが…少し微妙だけれど。

「…いいよ」

「え、いいのっ?」

いつものように断られるかと思っていたキノは目を丸くした。

「つーかダメって言ってもくるでしょ」

りょうは屋上のドアを開けようとしたが、カギが閉まっていて開かなかった。

「りょう、いつも閉まってんのにいつも確認するよね」

仕方なく階段に腰掛けて呟いた。

「だって…行ってみたいじゃん屋上」

「俺はここのが好きだけど」

キノはニコニコしながらりょうの隣に腰掛けた。