「そうでも…風間くんが心配じゃない?友達でしょ?」

普段、一緒にいる人間があれだけ弱ったら、心配になるのが普通だ。

「心配だけど…あいつらがダメになったのだって、元はと言えばあいつのヘマが原因なんだし」

「………」

とは言っても、プライドの高い聖也が人に頭下げる訳ない。

「それでもどっちかが会いたいって言うなら考えるけど、別に二人ともそんな事言わないし」

「言わなくても…」


直人の冷めた言いように、伊澄はムキになった。

「伝わらないよ、言わなきゃ…何も」

「……ちょっと、冷たくない?」

「はぁ?!」

直人も少し顔をゆがませたが、ひるまずに反論した。

「人の気持ちなんて変わるものじゃない!前に決めた事でも後になって…」

「伊澄ちゃんが感情に振り回されすぎなだけだよ」

「………」






「じゃ…俺いくわ」

しばらくの沈黙の後、直人は階段を上っていった。

「………っ」

伊澄は急いで階段をおりた。

保健室に駆け込んで、ドアを閉めて座り込んだ。

…涙が、少し出そうになった。