「風間くん?」

ふいに、いきなり手首をつかまれた。

「…………」

そして、伊澄の手を自分の頬まで持っていった。

「気分わるい?」

そのまま手を強く引っ張られ、伊澄は聖也の上に倒れこんだ。

「ちょ…」

間髪いれずに聖也は伊澄の上にまたがり、強引に唇をあわせてきた。

「んっ…ちょ」

右手で頭をつかんで押さえつけられ、そのまま舌をいれてきた。

「んっ…ふぅ…」

あいている左手は伊澄の白衣をまくり、胸をまさぐってきた。

(ど、どうしよう…!)

「っ……」

聖也は何かに気づき、唇を離して伊澄を見つめた。

「あや、か…?」

「え…?」

「んっ…」

聖也は急に顔をゆがめて口をおさえた。

「あっ…これ!」

聖也の様子を察知し、近くにあったゴミ箱を聖也の口元に差し出した。

「うぇ…ぐっ」

聖也はゴミ箱にむかって嘔吐した。

伊澄は乱れた衣服のまま、聖也の背中をさすった。