「ふぅ…」

職員会議から戻った伊澄はイスに座り、ため息をついた。

(風間くん…今日も来ないかな)

直人とのやりとりを生で見ていただけに、心配だ。


ごそっ…


「え?」

ベッドが置いてるカーテンの向こうから音が聞こえた。

(私…カーテンしめたっけ?)

病人がいないときには、カーテンは開けるようにしている。職員会議に行く前、ベッドを使用している人はいなかった…。

まぁ、やんちゃな生徒は多いので勝手にベッドを使用されるのも珍しい事ではない。

「誰かいる?」

カーテンを開けると、一番奥のベッドの布団が盛り上がっていた。

「大丈夫?」

伊澄はそう言って布団を少しめくりあげた。

「ん~」

「風間くん?!」

聖也は眠そうに伊澄を見つめた。顔色も悪い…。

「大丈夫?熱は…」

伊澄は聖也のおでこに手をあてた。






『聖也……』

聖也の頭には、かつての岬の姿が浮かんでいた。



(あの手…ちゃんとつかんでいれば…)