ヒノケンが予見した通り、次の日学校に聖也の姿はなかった。

「電話でないし…メールも返事がない」

教室の隅で、土屋はケータイをいじりながらため息をついた。

「どうする?直人…」

キノは困ったように直人を見つめた。

「そんな目で見られても…(笑)あいつが学校サボるのなんか珍しくねーじゃん」

「そうだけど…ショックだったと思うし」

ヒノケンが指をパチンと鳴らした。

「あいつ、岬ちゃんに会いにいってんじゃね?!」

「…それは、ないと思う。別れた時、お互いアド消したって言ってたし…岬、引っ越したし」

しかし、直人は冷静に答えた。

「やっぱあの時追いかけるべきだったかな…」

土屋の呟きにキノは手を上げた。

「俺は追いかけたよ?」

「テメーはりょうを、だろ(笑)」

「あいつはプライドが高いからな…たぶん同情されんのとか一番嫌うタイプだから」

直人もスキがないが、聖也も同じだ。普段一緒にバカをやっていても、泣いたり本気で取り乱したりしている所は見せない。

「うん…」

「もう少し、様子見よう」

そう言って直人が見上げた空はひどくよどんでいた。