「相当動揺してんな…」

ヒノケンは聖也の背中を見てポツリと呟いた。

聖也の心中を察してか、出ていった聖也を誰も追わなかった。

「そうだろ。まあ、一人にしてやろ…下手にかまってキレられても面倒だし」

そう言って土屋は椅子に座って足を組んだ。

(ミサキって…名字なんだ)

「でも、何でそのミサキ…ちゃんは風間くんじゃなくて水澤くんに?」

例のミサキと直人の関係がよくわからない。

「…聖也とはもう終わった仲だし、元々岬は俺のツレだったんだよ」

「ツレって…?」

「だって聖也と岬ちゃん引き合わしたの、直人だろ?」

ヒノケンが横から口をはさんだ。

「んーまぁ…」

直人は少しバツが悪そうに答えた。

「水澤くんが風間くんにミサキちゃんを紹介したの?」

「つーか、元々俺と岬が同じバイトで知り合って、あいつ白雪女子で俺は工業でほぼ男子校だから、クラス単位で合コンすることにしたんだよ」

「あれ、すげー盛り上がったよな♪」

ヒノケンはうししと笑った。