「もういいよ、タクの気持ちはよくわかったから」

『…でも』

「うるさいっ!面倒みきれないなら優しくしないで!!」

ケータイに向かって思いきり怒鳴ったあと、りょうはケータイを床に投げつけた。

「ああ…壊れるよ」

伊澄は床のケータイを拾ってりょうに渡した。

「う~…」

りょうは黙って受け取り、また泣き出した。

途方にくれていたところで、保健室のドアが開いた。

「伊澄ちゃん、おはよ~」

「火野くん、木下くん…」

二人に気づいたりょうはすくっと立ち上がり、反対側のドアへ向かった。

「あ、そこ…壊れてて開かないよ」

伊澄の指摘され、仕方なくヒノケンとキノのいる入り口に向かい、2人を睨んだ。

「じゃま」

「すいません…」

ヒノケンは大人しく退いたが、キノはりょうの顔を覗きこんだ。


「どうかしたの…?」

「関係ねーだろ、もぅどいて!」

心配顔のキノを無理やり押しのけ、逃げるように保健室を後にした。