翌日。

「ひっく…うぅ…」

1限目、トイレに行っていた伊澄が保健室に戻ると、りょうがイスに伏せて泣いていた。


「あの…」

「うぇ~ん…」

伊澄が声かけても完全無視だ。

(てゆうか…聞こえてない?)

「大丈夫…?」

とりあえず伊澄はりょうの背中を優しくさすった。

「伊澄ちゃーん…」

ようやくりょうは伊澄の存在に気がついたのか、涙でぐしゃぐしゃの顔をあげて伊澄に抱きついた。

「あ~はいはい」

伊澄はそのままりょうの背中をポンポンと叩いた。

(彼氏とケンカでもしたのかな…?)

少しして、りょうの制服のポケットから、ケータイのバイブ音が聞こえた。

「…鳴ってるよ」

「…うん」

りょうは鼻水をすすって受話ボタンを押した。

「ぐすっ…はい…」

『今、どこ?』

…多分彼氏だろう。保健室はしんとしているので、相手の声まで聞こえる。

「…保健室」

『じゃあ行くわ』

「やだ!こないで!」

『……』