「お前ら、何の話してんの?」

ヒノケンが訪ねると、キノはくだらなさそうに説明した。

「何か、直人が小松先生はヅラだとか言いだして」

「だれ小松?何の教科?」

「数学」

直人が答えた。

「いや俺さ、1年とき数学あいつだったけど、明らかに増量してる!」

少し呆れ顔のキノに直人は力説していた。

「まじ、どぅでもい~(笑)」

「笑うなよ、土屋!お前1年同クラだったろ」

指をさされた土屋は気難しい顔をした。

「俺あの先生の授業ほとんど寝てたから、顔あんま覚えてないし……」

「で、追試になったんだよな♪」

「…もう受かった!!」

からかうように肩に手を置いた直人を、土屋は睨みつけた。

「土屋、お前追試なったの??笑」

ヒノケンも土屋を笑った。

「…昔の話だって!!」

「そうだぜヒノケン、俺勉強教えたもん」

「え、お前直人に数学教わったの?!」

土屋は下を向いた。

「そう、何か前日の夜に電話してきて、近くのファミレスで徹夜で教えて…」

ヒノケンに問われて土谷の代わりに、直人が答えた。

「すげーな、直人」

「直ちゃん、ありがとっ!!」

「なつくな、きしょい!!」

ふざけて抱きつこうとした土屋を直人は笑いながらよけた。

「伊澄ちゃんさ、今日デートでしょ?」

「え…?」