3日前の夜に、大学の友達の仁絵に電話した。

以前につき合っていた笹木は仁絵の紹介で知り合ったので、一応別れたことを報告した。

仁絵は「そっか…」と小さく呟いて「駅前にさ、スープ屋できたの知ってる?!」と明るい声で話題を切り出した。

「あー…雑誌で見たことあるかも…」

[自然の食材を使った、やさしい味]がキャッチフレーズだった。

「今度、一緒に行かない?!」

「ああ…いいね」

…とゆう話の流れで今に至る。

「…水澤くん」

「知り合い?」

「…生徒」

後ろから聞いてきた仁絵に、伊澄は小さく答えた。

「…お客様?」

少し急かすように店員は伊澄を呼んだ。

「あ、すいません」

「またねー」

「学校の先生?」

伊澄に手をふる直人に、ミサキはこそっと聞いてきた。

「うん、先生つーか…保健室の」

「へー。キレイな人だね!モテるんじゃない?」

「ああ、俺のクラスで何人か狙ってるヤツいるもん」

しかし、誰も相手にされていない。

「あの人、結婚してないの?」

「してねーよ。まだ23、4だし」

「……でも」

「お待たせいたしました、ご案内いたします」

二人は店員に案内された禁煙席に向かい合って座った。