「ちょ…こしょぐったいって!ははは…」

「も~、暴れるとホコリたつでしょ!」

伊澄が少し強く言うと、土屋は自分の手をピタッと止めた。

「伊澄ちゃんにまで怒られてんの~」


落ち込むフリする土屋をキノは笑って指さした。

「…彼女も高校生だし、女友達同士のつきあいとかで何かあるかもしれないし。もう少し様子みてみれば?」

「…うん、さすが伊澄ちゃん!!」

(そんなに対した事は言ってないけど)

「だから俺らも言ってたじゃん、もう少し話し合えって。どーせ別れたりとかできないでしょ?」

「…ん~」

土屋は複雑な表情をした。

「でもさ、なんか…ないよね」

「なにが?」

キノは少し乱れた服を直しながら聞いた。

「2年もつき合ってるとさ、つき合い始めの…ドキドキとか…お互いのこと知りすぎて」


「…不安になったりはあるんでしょ?」

今、実際に不安定な状態ではある訳だし。

「今みたいにケンカしてわかんなくなっても、今までみたいにどーせ何とかなるだろみたいな…」

「………」

保健室がしんとなり、土屋は壁の時計を確認した。

「あー…そろそろ授業だから、俺戻るわ!伊澄ちゃん、ありがと」

「…うん」