(それがすごいと思うけど…)

「土屋は束縛しすぎだって」

「えー…」

「そんなするなら一緒の高校行けばよかったのに…」

キノの呟きに土屋はため息をついた。

「頭のレベルが違いすぎるもん…」

「彼女の高校どこなの?」

「京帝…」

京帝といえば、同じ地区にある私立の進学高だ。確かに、問題児ばかりといわれる中曽根で追試になっている土屋では無理だろう。

「あいつ最初は白雪女子行くって言うから安心してたのに、そこスベるから…」

白雪は、由緒正しきお嬢様学校で、かなりの名門校だ。

「白雪目指してたの?!すごいな、お前の彼女…」

「あいつお嬢だもん…門限なんかあるし」

「何時?」

伊澄が聞くと、土屋は両手で8と作って見せた。

「へー…」

「てゆーか話それてるっ!!」

「ああ、ごめん…何の相談だっけ?」

つい、うっかり他の話に流れてしまうのが伊澄の悪いクセだ。

「だから、なんか…同じクラスに好きなやつでも…」

土屋は何故か少し恥ずかしそうにモゴモゴさせながら話した。

「できたのかな~とか不安になるじゃん、こちらとしてはぁ!!」

そう叫びながら土屋はキノを後ろの長椅子に押し倒してこしょぐりだした。