次の土曜日。

中曽根バレー部は9時に長谷川高校の校門前に集合した。

「よし、行くか」

顧問が出席を確認した後、一同は体育館へ向かった。


相手校に軽く挨拶をすませ、案内された更衣室へ向かった。

着替えを済ませると、試合前のミーティングに入った。

「篠山には充分注意しろよ。西田、しっかり見張っとけ」

「はい」

篠山は、長谷川のエースプレイヤーだ。

篠山に対抗できる選手は、今のところ西田くらいしかいなかった。

「あと……火野」

顧問はチラッとヒノケンをみた。

「はい」

顧問に呼ばれ、ヒノケンはみんなの前に出た。

「??」

顧問とヒノケンの意図がわからず、一同はざわついた。

「俺から大事な話があります」

「……何だよ」

問いかけたのは西田だった。

「今日、このバレー部のマネだった成瀬千紗が、引っ越し……をするみたいで、今日。試合が終わったら俺は駅まで見送りに行きます」

「………!」

緊張しながらも、ヒノケンは続けた。

「みんなより先に帰るけど、顧問の先生の許可はとってあります。まーこれっきりだから…会えるのは。まーお別れが言いたい人は……一緒に行きましょう!」

「…………」