土屋は父親の顔を見た。

「娘を………よろしくお願いします」

「………はい」

「タカちゃん、またお姉ちゃんとなかなおりするの?」

瑠璃は潤んだ瞳で土屋を見つめた。

「うん。また、遊びにくるよ」

「ほんとう??」

「ほんとう、だよ」

真理も瑠璃に笑いかけた。

「じゃあ、るりとのやくそく、まもってね!!」

「約束……」

(…………何だっけ)

覚えがなかった。

「約束ってなに?」

真理が尋ねると、瑠璃は自慢げに答えた。

「タカちゃんね、るりがしょうらいおっきくなって、リィリィみたいになったら…ラブホテルにつれてってくれるって!!」

「…………!!」


思い出した。

以前、真理の家に遊びに行って、真理が電話で席をはずして、リビングで瑠璃と二人でテレビを見ていたときの事だ。


テレビには、グラビアアイドルのリィリィが、トーク番組で異性関係について聞かれていた。

『リィリィ全然モテませんよ~』

『うそでしょ~』

『本当ですよ~、リィリィ、ラブホテル入った事ないですもん』

「タカちゃん」

「ん?」

「ラブホテルってなに?」