「お前……自分の親父と不倫してんのか?!」

「んな訳ないでしょーが!!お父さんよ!新しいお父さん!!」

「オトウサン!?」

真理の父親は十何年も前に離婚している。

つまり……


「お前のお母さん、再婚したの?!」

「そう!!」

「で、で……腕組んで…愛してるって」

確かに、土屋は見た。いくら親子でもそれは仲良すぎだ。

「だって…夢だったんだもん!!お父さんずっといなかったら……腕くんで、友達とかの話して、一緒に買い物とか!やっとできたお父さんなんだから……愛してるもん!!」

つまり、あの"愛してる"は……家族としての愛してるという事だったようだ。

「なんだよ~」

その場にしゃがみこんだが、だんだん頭が冷えて冷静になってきた。

「あーーーっ!!」

土屋はいきなり発狂した。

(俺……お父さんになんて事を)

「すいませんっ!!俺……」

思わずその場で土下座をした。

「いえ……気にしてないですよ。頭上げてください」

「お父さん……」

土屋は涙目で顔を上げた。

「実際、ハゲ果ててますからね」

真理の父親はハハッと笑った。