そんな聖也を静かに見つめる視線があった。

(あいつ…妙に元気だな)

「おい、聖也」

「直人!おはよ」

直人が後ろから声をかけると、聖也は笑顔で振り返った。

「!………おぅ」

「あ……話す?」

聖也は親指で廊下を指した。

「……うん」

二人でこっそり教室を抜け出し、人目につかない場所へ移動した。

「話って?まぁ、想像つくけど…」

そう言った聖也の顔はどこか暗い。

「昨日……電話さ」

「あ、お前もしかして電話くれた?」

「え……」

昨日は、電話はしてない。

「昨日、ケータイ代払ってなくて止まってたんだよ。さっきコンビニ寄って払ったからそろそろ使えると思うけど」

(もしかして……)

ケータイを開いた聖也を見て、嫌な予感が直人の胸を触った。

「おまえ、岬から聞いてない?」

「………?何を?」

「わざととぼけてんじゃねーよな?」

プライドの高い聖也なら、そうゆう事もあり得る。

「だから、何が?!」

「岬は……」

♪♪♪~

直人が言おうとした瞬間、どこからかメールの受信音が聞こえた。

「……あ、俺のやつ」

ケータイを開くと、メールが2件届いていた。

1件はメルマガで、もう1件は……岬からだった。