いきなり入ってきた直人に、クラスメートの視線が集まった。

「あ、水澤!!」

りょうは直人をギロッと睨んだ。

「直人…あんたの差し金?」

タイミングよく入ってきた直人を疑っていた。

「いや……何が?」

「こいつと合コンすんでしょ」

そう言ってキノを指差した。

「………誰から聞いた?」

「土屋」

(あいつら……)

直人が後ろをにらみつけると、二人は小動物のように、ピョコンとドアの影に隠れた。

(聖也は……いねーな)

教室を軽く見渡したが、聖也の姿は確認できなかった。

「キノ、聖也…休み?」

「う…うん。来てない…休みかわかんないけど」

「聖也はいま関係ないでしょーが」

何故か聖也の話を持ち出されてりょうはまたキレた。

「つーか、関係ないのはお前だろ」

「!!」

「だって、別にお前キノと付き合ってないしさ。キノいま彼女いないし…合コン行こうが自由じゃん」

直人は冷たい目でりょうを見ていた。

「んな…おかしいじゃん!りょうのこと、好きって言ってたのに」

「おかしくねーだろ。お前だってさぁ、キノのこと面倒がってたし…いい事じゃん。お前は心おきなく彼氏つくれるし、キノには新しい出会いがあるし」

「………」