「どんな風に言ったんだよ??」

物陰から見ていたヒノケンにはよく聞こえなかったようだ。

「教科書借りるついでに今度、合コンやるんだーって話して…りょうがどーせいつものメンツでしょーとか言うから、そうだけど聖也は来ないーて言って、そしたら、え…キノは?て向こうから聞いてきた」

なるべく詳しく状況を説明した。

「え、りょうから聞いてきたの?」

「うん」

「なんだよ~あいつも何だかんだで気にかけてんじゃん」

ヒノケンは呆れたように頭の後ろで手を組んだ。

「そうだな。キノのこと、好きかどうかは微妙だけど……」

「どゆこと?」

「何かあるじゃん。いつも自分に好き好き言ってくる奴が、他いっちゃったら、好きでもないけどなんか面白くないーみたいな」

りょうの心理を土屋は意外に冷静に分析していた。

「でもそれは追いかけられてるうちに好きになっちゃったって事じゃないの?」

「うーん…まぁ後はりょう次第だな」

二人がまた覗き込むと、りょうはしばらく考えこんだ後、意を決したようにこちらに向かって歩き出した。

「やば、こっち来る!」

「ト、トイレ!男子トイレ!!」

とっさに近くにあった男子トイレに二人は避難した。