「向こう、戻るの?」

『うん。医者の許可がおりたら……』

「聖也は?」

『……………』

「聖也は、お前に捨てられるんだな」

キスまでしといて、他の男とヨリを戻すとは、そういうことだ。

『………』

「これでわかった。お前、聖也のことは別に好きでもなんでもなかったんだろ」

『……………』

「誰でもいいから、すがりつきたかっただけだろ」

『……そうだよ……聖也だって、私が妊娠してるって知ってたしいつかこうなる事はわかってたでしょ…第一、最初に私を裏切ってたのは聖也だよ』

「お前……聖也に二股かけられてた事、根にもってたの?」

『傷ついた。信じてたのに……』

「まぁあれはあいつが完璧悪いけど……今のお前だって立場一緒じゃん」

図星をつかれて岬はムキになった。

『……前からずっと言いたかったけど、私は、水澤みたいに強くないんだよ!……そんな、水澤みたいに、正しくなんて生きてられない……自分が正しいからって、それを人に求めないでよ』

「俺は別に強くないって」

(昨日だって伊澄ちゃんに弱音吐いてきたくらいなのに)

『うそ……』

「………もう、わかったよ。お前、この事ちゃんと聖也に報告しろよ。岬の口から」

『…………』

返事はなかった。