『実は……私、水澤に隠し事してた』

「……なに?」

『お腹の赤ちゃんの……私の彼なんだけど、最初に子供ができたって話した後…連絡通じなくなって……』

「!?」

確かに、相手の事を聞いたら岬はあまり話したがらなかった。

自分が聖也の友達だから話しづらいのかと思っていたが。

『そのまま不安になって、日本に戻ってきて』

「……何で黙ってたんだよ、言う機会はいくらでもあったろ」

『軽蔑されそうで怖かったの!!』

いつの間にか、岬は涙声だった。

「そんな」

『ちがう。ちがうの……最後まで聞いて?』

「なに?」

『昨日、あの後……その彼から電話があってね……』

「うん……」

『覚悟ができたから…結婚しようって』

「…………」

『そう…言われて』
「………すんの?」

一息ついて静かに聞いた。

『死ぬほど嬉しかった』

「すんのかよ」

『……………する』

「お前を、一度捨てようとしたんだぞ」

音信不通になったということは、そうゆうことだろうと直人は思った。

『私は、彼がすごく好きだった!子供ができたときだって、一人になっても……彼の子供だから、産みたいって』