駅で伊澄と別れ、直人は岬に電話をかけた。

「……………」

しかし、何コールしても岬は出なかった。

仕方なく切って、電車に乗り込んだ。


電話がつながったところで何を話すかなんて決めていなかった。



しかし、その日の深夜に岬から着信があった。

「…………」

翌昼に気づいた直人は、急いでかけ直した。

『……はい』

「おす」

『うん』

「体調は…大丈夫?」

『うん…大分、楽になった。ありがとう』

しかしまだあまり元気がないように感じた。

受話器越しの声だとよくわからないけれど。

「礼はいいけど…」

『………』

「岬」

『うん?』

「俺が聞きたいこと…わかるよな」

『……うん、わかる』

わかるが、直人の中で聞きたいことはきっと山積みだろう。

「じゃあ」

『別に、付き合ってないよ。キスはしたけど……』

話を切り出そうとしたら、岬が先手を打ってきた。

「……無理やりとかでもなかったよな、あれは」

『聖也からきたけど、私は拒否しなかった。でも、それだけ』

「お前ら、今までも会って……あーゆー事してた訳?」

『会ったりはしてたけど……キスしたのは昨日が初めて』