「……………」

「……?」

直人の様子が、少しおかしく感じた。

「水澤くん、どうかしたの?」

「へ?」

「みんなでいる時も……何か上の空だったけど」

今日の直人の様子がおかしいことは、全員が気がついていた。

最後らへんに、やっと普通に話すようになったかと思ったけれどまた黙ってしまった。

「んー……」

「私でよかったら、聞くけど」

「へへっ」

またすかすように笑われた。

(……やめとこ)

「言いたくなかったらいいよ」

「んーん。せっかく伊澄ちゃん楽しませたかったのに、申し訳なかったと思って」

「本当にー?(笑)」

笑いながら直人の顔を覗き込むと、やはり少し複雑な顔をしていた。

「なんかムカついてて…。自分にも周りにも」

「周りって……私たち?」

「いや、そうじゃない。来る前にちょっとあって…」

そう言って少しバツ悪そうに鼻をかいた。

「来る前……なんかあったの?」

そういえば、キノの言葉を思い出した。