「じゃ、俺らこっちだから!」

土屋とキノとヒノケンはあえて伊澄と逆方向の道を選んだ。

「直人は、伊澄ちゃんを頼むぞ」

土屋は力強く直人の肩を叩いた。

「いや、私…タクシーで大丈夫だから」

「な、何言ってんの!最近物騒だしさ!!タクシーの運転手だって何するか…わかんないよ!!」

ヒノケンは強引に伊澄を止めた。

「わかったよ、俺が駅まで送ってくんだろ」

直人はあきれてため息をついた。

(やだ……もうバレてる)



(……でも、もし、水澤くんが私の気持ち…知っててこんな態度とってるとしたら……)



ケータイも教えてくれたし。

(期待、してもいいの?)



「じゃね~また月曜日!!」

三人はそそくさと逃げるように帰っていった。

「……たく、バカ3人。ごめんな、伊澄ちゃん」

直人に見つめられ、思わずドキッとした。

「?…い、いいよ」

「あいつらさ、多分俺が伊澄ちゃん好きだって勘違いしてんだよ、アホだよな」

直人はへっと笑った。